「感情抑圧/感情を抑える文化」が神経系・免疫系に生理的負荷を与える

癒し

参考図書:The Myth of Normal: Trauma, Illness, and Healing in a Toxic Culture (English Edition)  Gabor Maté MD  (著)

「“いい人”であるために本音を抑え続けると、
身体が代わりにストレスを抱えるようになる」


「感情を抑えて“いい人”でい続けると、
身体が代わりに防衛反応を抱え続けることがある」


“感情抑圧” が、神経系・免疫系に実際の生理的負荷を与える

研究では参加者に、

  • 火傷治療
  • 腕切断

など、嫌悪感を起こす映像を見せた。一部の参加者には、

「感情を見せないように」

と指示すると、

感情を抑えたグループに起きたこと

  • 交感神経活性
  • fight/flight反応
  • 生理的ストレス

が強くなった。つまり、

「感情を抑える」だけでも、
身体は強い負荷を受ける。

「いい人」の代償

慢性病患者には、

  • 人に合わせる
  • 波風を立てない
  • 感情を隠す
  • 自己犠牲
  • “役に立つ人”になる

傾向が多かったと述べています。そしてそれは、単なる性格ではなく、

愛着を守るための適応

として形成された可能性がある。

慢性病の患者たちに共通する特徴として、

  • 他人を優先する
  • 自己抑圧
  • 感情を出さない
  • “迷惑をかけない”
  • 助けを求められない

傾向があることを著者は観察していた。

特徴は「過剰にいい人」

癌と関連しやすい傾向として研究された人格パターン

  • 協調的
  • 我慢強い
  • 争いを避ける
  • 怒りを抑える
  • “いい人”
  • 従順
  • NOを言えない
  • 外部期待を優先

など。ここで重要なのは、

「怒るべき」ではなく、
「本当の反応を切断し続けること」

それが、神経系へ慢性負荷をかける。

感情抑圧が

  • コルチゾール
  • ストレスホルモン
  • 免疫機能

へ影響する特に、

「本音を出せない」
「自己主張できない」

ことは、

“自己防衛システムを弱める”

可能性があると説明されています。

  • 怒り
  • 悲しみ
  • NO
  • 違和感

そのものが問題なのではなく、それらを

“感じないようにする”
ことが長期的ストレスになる。

ある医師のエピソード
:セクハラや「助けを求められない構造」

Dr. Rankin は研修医時代、

  • 長時間労働
  • 出産現場の連続対応
  • 悲しみを感じる暇もない環境
  • 上司から感情抑圧を求められる空気

の中にいました。印象的なのは、

医療現場そのものが、

感情を抑える
弱音を吐かない
助けを求めない

“ちゃんとしている”ことを求める文化だったことが語られています。

彼女はさらに、

  • 医学部で性的ハラスメントを受けていた
  • でも誰にも相談しなかった
  • 「助けを求めること」が許されていなかった

と語っています。ここで著者は、

「Needy(助けを必要とする人)」であってはいけない

という自己抑圧パターンが、
後年の病気とも深く関係していることを示唆しています。

“Doctors became masters at stuffing their emotions.”
(医師たちは感情を押し込める達人になった)

その後 Dr. Rankin は、

  • 心拍異常
  • 高血圧
  • アレルギー
  • 複数の慢性症状

を抱えるようになります。薬は増え続け、

  • ステロイド
  • 抗ヒスタミン
  • 血圧薬

などを常用していました。

誰一人として、

「あなたはどんなストレスを抱えていますか?」

と聞かなかった

「治療」ではなく「変容」

Dr. Rankin は35歳頃、
極度の危機状態になります。

  • 自殺念慮
  • 深い消耗
  • 人生の崩壊感

しかしそこから、個人的変容のプロセスが始まった。

彼女は、

  • 生き方
  • 感情との関係
  • 自己犠牲
  • 他者承認への依存
  • “頑張り続ける人格”

を見直していきました。彼女はこう振り返ります。

「私は典型的な“いい子”だった。
常に成果を出し、他人に認められようとしていた」

そしてその絶え間ないプレッシャーが、
「身体症状として現れていた」と理解するようになります。

病気は歓迎したい客ではない。
でも、“なぜこの客が来たのか”
を知ろうとすることには意味がある

病気を、

  • 単なる敵
  • 排除対象

としてだけでなく、

「人生の何を映しているのか?」

という視点で見ること。

Inside (身体感覚)を切断したまま
Outside(外側の世界) に適応し続けると、
身体が代わりに語り始める

「病気は“壊れた身体”ではなく、
長年の自己抑圧と過剰適応が身体化したプロセスかもしれない」

自己主張(assertiveness)は生物学的自己保護

  • NOを言う
  • 違和感を感じる
  • 境界を持つ
  • 自分を守る

という行為は、神経系レベルでは「危険から身を守る能力」でもある。

慢性病の人に多い特徴

① 他人の感情を優先する

(自動的に他人優先)自分より、
他人の感情・期待・安心を優先。

② 社会的役割への過剰同一化

  • 役に立つ人
  • 頑張る人
  • 支える人

という役割から離れられない。

③ 過剰責任感

「自分がなんとかしなきゃ」が強い。

④ 健全な怒りの抑圧

つまり、

  • NO
  • 距離をとる
  • 違和感
  • 境界

を守る機能を果たせない。

⑤ 「失望させてはいけない」

慢性病患者たちの深層信念として

「他人の感情は私の責任」
「人を失望させてはいけない」

これらは「性格」ではなく適応

  • 意志の弱さ
  • 性格の問題
  • 選択ミス

ではなく、

生存適応

として形成された。

子どもは愛着を守るために自己抑圧する

つまり幼少期、

  • 愛される
  • 見捨てられない
  • 安全を保つ

ために、

  • 本音
  • 怒り
  • 自然な衝動を抑えることを学んだ。

そしてその「生存適応」が、大人になっても続いている。
これらの特徴は社会ではむしろ

  • 「優しい」
  • 「責任感がある」
  • 「献身的」
  • 「良い人」

として称賛されやすいため

だから、問題化されにくい。

「“いい人”として生き延びるための自己抑圧は、
長期的には身体へ慢性的ストレスを与えることがある」