参考図書:The Myth of Normal: Trauma, Illness, and Healing in a Toxic Culture (English Edition) Gabor Maté MD (著)
「人は“愛されること”を優先するあまり、
本来の感覚や本音を切り離してしまうことがある」
人間には二つの根本ニーズがある
① Attachment(愛着)
- つながり
- 保護されること
- 属すること
- 見捨てられないこと
- 他者との近接
への欲求。
特に子どもにとっては、
愛着は単なる感情ではなく、
「生存そのもの」
です。
② Authenticity(本来性)
- 本音
- gut feeling(直感)
- 自然な衝動
- 自己感覚
- 自分の人生を自分で感じる力
“to know what we feel”
(自分が本当は何を感じているか知る)ニーズもある。
本来性= 直感 とつながる能力
つまり:
- 嫌
- 危険
- 違和感
- 好き
- 心地よい
- 近づきたい
- 離れたい
などを、身体レベルで感じ取る力。
「愛着」が「本来性」を上書きする
幼少期、この二つが衝突すると、
子どもは必ずAttachment(愛着)を優先する
なぜなら、
親とのつながりを失うことは、
生存危機だから。
その結果起きることとして、子どもは、
- 怒り
- NO
- 本音
- 違和感
- 自然な欲求
を抑える。つまり
「本当の自分」より、「愛される自分」を優先する。
「怒りを出すと愛されない」
「自己分裂」の始まり
- 愛着を守るため
- 拒絶されないために、
- 受け入れられる自己を作る。
そして:
- 怒り
- 悲しみ
- 違和感
- NO
- 本来性
を切り離していく。これが長期化すると、
- 自己喪失
- 過適応
- “いい人”
- 感情麻痺
- 慢性ストレス
につながる。そして、
「本当の自分」が消えていくプロセス
子どもは幼少期、
愛着を失わないために、
感情や本来性を抑える
- 怒りを隠す
- “いい子”になる
- 完璧を目指す
- 役割を演じる
- 目立たないようにする
「生き延びるための適応」だったものが、時間が経つと、新しい普通になってしまう。
- 過適応
- 役割人格
- 自己抑圧
が、“本来の自分”のように感じられてくる。著者はこれを、
“second nature”
(第二の本性)
と表現しています。本来の自然さではなく、
長期適応によって神経系に固定された状態。
- 役に立つ人
- 優しい人
- 空気を読む人
- 頑張る人
- 感じない人
が、「性格」になってしまう。
冬の防寒具の比喩
適応」は環境が変わっても残る
寒い冬なら:
- コート
- 毛布
- 暖房
は必要。
でも、夏になってもそれを着続けたら、逆に健康を害する。同じように:
幼少期には必要だった防衛適応が、
大人になっても外れないことがある。
“人格”だと思っているものの背後に、
深い自己切断が隠れていることがある
私たちが「これが私」と思っている性格特性の多くが、
- 傷つきへの適応
- 愛着維持戦略
- 生存防衛
かもしれない。
「条件付きの愛」
もし子どもが
- 無条件の愛
- 存在そのものへの受容
を受け取れなかった場合、代わりに:
- 成果
- 魅力
- 承認
- 地位
- “役に立つこと”
で価値を得ようとすると説明しています。
魅力的であろうとする
- 魅力的であろうとする
- 成功を追う
- 有名になろうとする
- “助ける人”になる
なども、
「自己価値を“外側”で埋めようとする適応」
になる場合がある。これらの適応を
“runaway addictive”
(暴走する依存的パターン)
- 承認
- 成果
- 人助け
- 完璧主義
などが、
「自己との切断」を埋める代償行動
として続いていく。本来の安心感や自己価値の代わりに、
- 成功
- 承認
- 頑張り
- 評価
- “特別であること”
で自分を支える状態となり、
「評価」が麻薬のようになる
人は:
- 愛される
- 認められる
- 価値を感じる
と、脳内化学物質エンドルフィンなどが分泌される。そのため、
外側からの評価が一時的に痛みを和らげる。
でも長続きしない
外部承認による“高揚”は、
根本的な欠乏を解決しない
だから人は、
- もっと成果
- もっと称賛
- もっと承認
を求め続ける。すると:
「役割人格」が強化されていく。
(長期反復された適応パターン)
生き延びるための適応は、やがて“これが自分だ”と思う人格へ固定されていくことがあり、外側の承認で自己価値を埋め続けると、本来の感情や自己感覚との切断が深まることがある
「危機」が再評価を起こす
例えば:
- 離婚
- 依存症
- うつ
- 病気
- 燃え尽き
こうした崩壊体験によって、
「本当に私は誰なのか?」を見直す契機が生まれる。
healing(癒し)に必要なのは、blame(責めること)でもguilt(罪悪感)ない
代わりに必要なのは:
応答する力
(今ここで、何にどう応答できるか)
- 過去を責める
- 親を断罪する
- 自分を否定する
ではなく、「何が起きていたのかを理解し、これからどう関わるか」へ向かうこと。
- 人を喜ばせる
- NOを言えない
- 自分を抑える
ことを“自分自身”だと思っていたところから「それは条件づけだった」と気づく。
本来性は回復できる
- awareness(気づき)
- self-compassion(自己への思いやり)
によって、authenticity(本来性)は回復できる
「“いい人”適応は生存戦略だった。
でも気づきと自己への思いやりによって、
本来の感覚は再び取り戻していける」

