トラウマセンシティブ・マインドフルネスの第4原則
「Practice in Relationship(関係性の中で実践する)」について説明している部分です。
1. トラウマは孤独の中では癒えにくい
瞑想リトリート中に苦しみを抱えた女性(Rachel)に対して、僧侶は次のように伝えます。
「沈黙や孤独だけが薬ではない。
家族や友人と一緒にいることのほうが助けになる場合もある」
著者はこの体験から、
「トラウマは孤独の中では癒えない。回復には関係性が必要である」
という大切な学びを得たと語っています。
2. 安全な他者とのつながりが神経系を整える
安全な人との関係は、
- 安心感をもたらす
- 覚醒レベル(興奮や不安)を調整する
- Window of Tolerance(耐性の窓)を広げる
- 自己調整を支える
役割を果たします。
つまり、
「一人で頑張って落ち着こう」とするより、
安心できる誰かとの関係の中で神経系は回復しやすい
3. マインドフルネスも本来は関係的な実践
マインドフルネスは個人的な内面作業と思われがちだが、
本来は
「関係性の中で行う実践」
でもあると述べています。
そのため支援者は、
- 面談頻度を増やす
- トラウマ専門家につなぐ
- グループとのつながりを作る
- 個別の安全計画を立てる
など、回復を支える環境づくりも重要になると説明しています。
Samの事例
Sam は長年熱心に瞑想を続けていましたが、
ある10日間の瞑想リトリート中に
- 強烈なエネルギー感覚
- 恐怖
- コントロールを失う不安
に襲われました。彼は
「もっと強ければ続けられるのに」
と自分を責めていますが、
著者はこれを「意志の弱さ」ではなく、
トラウマ反応や神経系の問題として理解していこうとしている流れ
が見えます。
ここでの核心は、
「静けさは大切だが、静けさに向かうためには支えも必要」
このSamの事例 を通して、
「瞑想だけでは癒えないトラウマがある」
ということを説明しています。
1. リトリート後もSamの強い不調が続いていた
10日間の瞑想リトリート後、
Samは
- 不眠
- パニック発作
- 混乱
- 判断力の低下
- 強い不安
に苦しんでいました。
瞑想を続ければ落ち着くのか、
それとも逆効果なのかも分からず、
非常に不安定な状態になっていました。
2. 背景には幼少期の「見捨てられ体験」があった
話を聞いていくと、
Samの父親は家を空けることが多く、
幼い頃から一人で過ごす時間が長かったそうです。
- 一人で食事を作る
- 一人で過ごす
- 孤独に耐える
という経験を繰り返していました。
そのため、
「自分には何か問題がある」
「見捨てられるのは自分が悪いからだ」
という 深い自己否定感 を抱えるようになっていました。
3. リトリートが昔の孤独を再現してしまった
Samが語った印象的な言葉があります。
リトリート中、
一人で部屋にいると、
「子どもの頃のように、
誰も来てくれない感じがした」
著者はここを重要視します。
瞑想そのものが問題だったのではなく、
孤独な環境が幼少期の見捨てられ体験を再活性化させた
そのような可能性が高いと考えます。
4. この段階で必要だったのは「つながり」
Samに必要だったのは、
さらに一人で瞑想することではなく、
安全な人とのつながり
でした。
瞑想は将来的には役立つかもしれない。
しかしこの段階では、
まず
- ケア
- 安全感
- 関係性
が必要だった。
幼少期に得られなかった
「誰かがそばにいてくれる体験」
こそが回復に必要だったのです。
参考図書:Trauma-Sensitive Mindfulness: Practices for Safe and Transformative Healing (English Edition) David A. Treleaven (著)
日本語訳もでています>>トラウマセンシティブ・マインドフルネスー安全で変容的な癒しのために デイビッド・A・トレリーヴェン (著)
