Internal Family Systems(IFS)とは?
IFSを
トラウマ化した自分自身の部分(parts)との関係性を育てるモデル
として紹介しています。
創始者は
Richard Schwartz
です。
人は複数の「部分(パーツ)」を持っている
例えば恋愛関係で、
- 親密になりたい部分
- 傷つくのが怖い部分
が同時に存在する。
あるいは、
- 頑張りたい部分
- 休みたい部分
が同時に存在する。
つまり
人は一枚岩ではなく、
さまざまな部分(パーツ)の集合体である。
トラウマによってパーツが分離する
トラウマによって
本来統合されていた自己の一部が切り離され、
独立したような状態になる
その結果、
それぞれのパーツが
- 独自の感情
- 独自の信念
- 独自の記憶
- 独自の身体反応
を持つようになります。
パーツは「痛み」を抱えている
トラウマによって分離したパーツは、
それぞれが耐えきれなかった苦痛を抱えている
そして、
- 身体症状
- 感情反応
- 思考パターン
として現れ続けます。
マインドフルネスだけでは統合されない
マインドフルネスは、パーツに光を当てることには役立つ。
しかし、
ただ観察するだけでは統合は起きないことがある
と述べています。
なぜか?
統合には、そのパーツとの
- 関係性
- 信頼
- つながり
が必要だからです。
IFSの特徴
著者によるとIFSは、
ナラティブセラピーや家族療法などの要素も取り入れながら、
心を「さまざまなパーツから成る内なる家族」として扱います
そして、
それぞれのパーツと対話し、理解し、関係を築いていきます。
トラウマによって分離したパーツは、
ただ観察されるだけでなく、関係性の中で癒され統合されていく。
Internal Family Systemsの核心的な考え方
1. どんなパーツにも役割がある
私たちの中のパーツはそれぞれ
「固有の価値を持っている」と説明しています。
例えば、
- 締切前に集中して頑張るパーツ
- 人との関係をうまく保つパーツ
- 慎重になるパーツ
など。
普段は役立っているパーツも、
トラウマによって極端な働きをすることがあります。
2. 問題なのはパーツではなく「負荷のかかり方」
人生で圧倒的な体験が起きると、
パーツたちはそれぞれ違う方法で対応します。
例えば、
- 恐怖で固まる(Freeze)
- 自分を責める
- 怒りで防御する
などです。FSではこうした反応を
「問題行動」
として見るのではなく、
「その人を守ろうとした最善の努力」
として理解します。
3. パーツは私たちを守ろうとしている
パーツはしばしば、私たちが圧倒されないように守ろうとしている
と述べています。
例えば、
- 痛みを感じないよう麻痺させるパーツ
- 常に警戒するパーツ
- 完璧を求めるパーツ
も、本来は保護者として働いています。
だからIFSでは、
パーツを排除したり修正したりするのではなく、
まず理解しようとします。
4. 「好奇心」を向けることが転換点になる
IFSの重要な転換点は、
「このパーツは何が悪いのか?」
ではなく、
「このパーツは何を守ろうとしているのだろう?」
と好奇心を向けることです。
すると、内なるシステム全体に
「すべてのパーツは歓迎されている」という安心感が生まれます。
5. Self(セルフ)という中心的な存在
IFSでは、誰の中にも
Self(セルフ)
という中心的な存在があると考えます。
セルフには、
- 好奇心
- 落ち着き
- 思いやり
- 明晰さ
などの普遍的な性質があります。
6. セルフは「太陽のようなもの」
著者は美しい比喩を使っています。
セルフは太陽のようなもの
太陽は常に空にあります。
しかし雲がかかると見えなくなります。
同じように、
セルフは常に存在していますが、
パーツが前面に出ると見えなくなります。
7. 「パーツと一体化している状態」
IFSでは、
セルフが隠れ、
あるパーツが前面に出ている状態
Blend(ブレンド)
と呼びます。
例えば、
- 怖いパーツと一体化する
- 怒りのパーツと一体化する
- 完璧主義パーツと一体化する
そうすると私たちは
「私は怖い」「私は怒っている」
と「わたしごと」として捉えます。
しかしIFSでは、
「怖がっているパーツがいる」
と見ます。
パーツは敵ではなく守護者である。
そしてそのパーツたちを
「好奇心と思いやりを持って見守る中心」としてSelfがある。
マインドフルネスとIFSの違い
マインドフルネスは
今この瞬間の体験に気づき、
自分自身との関係を深める方法
一方 IFSは、
パーツと積極的に関わる方法
です。つまり、
マインドフルネス
- 気づく
- 観察する
- 体験を受け取る
IFS
- パーツに話しかけ、
- パーツとの関係を築くことで
- 癒しを促す
という違いがあります。
Selfエネルギーをシステムに持ち込む
Selfが前面に出ると、
- 防衛パーツが緩む
- 傷ついたパーツが安心する
- システム全体が落ち着く
と説明しています。
Selfリーダーシップは一人では難しい、
Selfリーダーシップを育てるには、
通常IFSの訓練を受けたセラピストの助けが必要だ
と著者は述べています。なぜなら、
私たちはしばしば
「Selfだと思っている状態」が実は
「あるパーツと一体化している状態」
だからです。
例えば
- 理解しようとしているパーツ
- 頑張るパーツ
- 分析するパーツ
が前面に出ていることがあります。
そのため、
外からサポートしてくれる人がいると、
どのパーツが動いているかを見分けやすくなります。
「パーツに少し下がってもらう」
IFSの代表的な技法が、
Step Back(少し下がってもらう)
です。
トラウマのパーツが強く前面化すると、
人は
- 圧倒される
- 飲み込まれる
- 恐怖でいっぱいになる
ことがあります。
そのときIFSでは、
そのパーツを追い払うのではなく、
「少しだけ後ろに下がってもらえますか?」
とお願いするそうです。
パーツは「つながり」を求めている
トラウマパーツは激しく反応しているように見えても、本当は
「 つながり 愛 理解 」を求めていることが多い。
だから、そのパーツが
「少し下がれば、理解してもらえる」
そう感じると協力してくれることがある
と説明しています。
つまり、
「トラウマパーツは敵ではなく、
助けを求めている存在である」
ということです。
マインドフルネスは「パーツに気づくことを助ける。」
IFSは、「そのパーツと関係を築き、Selfのもとで癒していく方法」である。
という内容です。
参考図書:Trauma-Sensitive Mindfulness: Practices for Safe and Transformative Healing (English Edition) David A. Treleaven (著)
日本語訳もでています>>トラウマセンシティブ・マインドフルネスー安全で変容的な癒しのために デイビッド・A・トレリーヴェン (著)
