「向き合わない限り、癒えない」
スティーブンソンの主張として紹介されているのが、
公民権運動を理解するには、
奴隷制度の歴史を理解しなければならない
という考えです。そして、
歴史を否認したり押し込めたりするのではなく、
向き合う必要がある
と語っています。
トラウマもおなじ「埋めても戻ってくる」
著者は、
トラウマは埋めても消えない
と言います。人はしばしば
- 忘れようとする
- 気を紛らわせる
- 麻痺させる
ことで苦痛から逃れようとします。
しかし、トラウマはやがて別の形で表面化します。
個人レベル
例えば、
- フラッシュバック
- 不安
- 身体症状
など。
集団レベル
例えば、
- 社会運動
- 公共の議論
- 歴史の再評価
など。
集団的トラウマも同じ
著者は、
- 奴隷制度
- 人種差別
- 植民地主義
などの歴史的トラウマも、
個人のトラウマと同じように、
「無視していても消えない」と述べています。
癒しの第一歩は「直視すること」
トラウマを癒すためには、
まずその存在を認めなければならない。
本書全体を一文に凝縮したような内容が
「避けることは一時的な安心を与えるが、癒しは生まない。」
個人でも社会でも、
回復は『見ないこと』ではなく『向き合うこと』から始まる。
というのが、著者が伝えている最も重要なメッセージだと思います。
トラウマと向き合うには勇気がいる
トラウマと向き合うことは簡単ではないと述べられています。
個人レベルでも社会レベルでも、
苦しみや歴史的な傷に目を向けるときには、
- 勇気
- 継続的な努力
- 適切な支援
が必要になります。
苦しみを前にすると人は
- 解離する
- 他人を責める
- 無力感に沈む
といった反応を取りやすいとも述べています。
ニュースや社会問題に圧倒される時代
世界中で暴力や苦しみのニュースが絶えない中、
私たちはどう応答すればいいのだろう?
という問いです。
起こりやすい反応
- 無関心になる
- 諦める
- 感覚を麻痺させる
- 絶望する
しかし著者は、別の可能性もあると言います。
マインドフルネスは「広く感じる力」を育てる
マインドフルネスは
喜びだけでなく苦しみも含めて、
人生全体を受け止める容量を広げる訓練
です。
マインドフルネスの目的は
「嫌なものを消すこと」ではなく、
現実をより明晰に見ること
です。
その結果、
- 喜び
- 愛
- 平和
- 苦しみ
- 喪失
- 不安
のすべてを受け止める余裕が少しずつ育っていきます。
耐性の窓を広げる
著者はここで再び、
Window of Tolerance(耐性の窓)
の考え方に触れています。
マインドフルネスによって、私たちは苦痛を感じながらも圧倒されない能力を育てられる。
苦痛に耐えられるようになるほど、
喜びや平和もより深く感じられるようになる。
マインドフルネスは万能薬ではない
著者本書を通じて伝えたかったのは、
マインドフルネスがトラウマを解決する ではなく、
トラウマの回復を支える有力なツールになり得る
ということだと言います。
トラウマ・センシティブな実践は継続的な学び
トラウマセンシティブな実践は
- 一度学んで終わり
- チェックリストを覚えて終わり
ではないと述べています。むしろ、
継続的な実践 継続的な学習 継続的な感受性
が必要なプロセスだと言います。
この本が伝えたかったこと
近年、マインドフルネスの副作用や困難さへの理解が進んできたと振り返ります。
マインドフルネスは、
時に
- トラウマを表面化させる
- 苦痛を増幅する
こともあります。だからこそ、支援者には
より繊細で柔軟なアプローチ
が必要だと述べています。
この本全体を締めくくるメッセージ
マインドフルネスとは、痛みを消す技術ではなく、
人生全体とより誠実に出会うための実践である。
ということだと思います。
参考図書:Trauma-Sensitive Mindfulness: Practices for Safe and Transformative Healing (English Edition) David A. Treleaven (著)
日本語訳もでています>>トラウマセンシティブ・マインドフルネスー安全で変容的な癒しのために デイビッド・A・トレリーヴェン (著)

