「正常」が病的かもしれない/現代の “normal” は、人間という種の進化的ニーズから見ると著しく逸脱している

癒し

参考図書:The Myth of Normal: Trauma, Illness, and Healing in a Toxic Culture (English Edition)  Gabor Maté MD  (著)

現代文化は人間発達を不健康な方向へ加速している

現代の “normal” は、
人間という種の進化的ニーズから見ると著しく逸脱している

これは「人生規模の健康リスク
:問題は個人だけではなく、社会構造そのもの」

多くの先住民文化では:

「利己主義」は
“人間らしさ”ではなく、
“人間性の喪失”として扱われていた、

先住民文化の概念:

“wetiko”

  • 貪欲、支配、他者搾取
  • 終わりなき欲望に取り憑かれた状態。

つまり、

「極端な自己中心性」を“病理”として見る視点です

人間は、

  • どんな環境にも適応できる
  • さまざまな人格状態を発達させる
  • 条件によって全く違う振る舞いになる

という非常に柔軟な存在。

「あなたが壊れている」ではなく、
「その環境で、その神経系適応が必要だった」


人は長く同じ状態にいると「これが自分」「これが普通」だと思ってしまう点。著者はこれを

“reify”(固定化・実体化する)

と表現しています。

  • 過適応
  • 慢性緊張
  • 自己抑圧
  • 役割人格

も、長く続くと「私の性格」に見えてしまう。

「環境が人格を作る」

人間には:

  • ニーズ
  • 可能性
  • 潜在力

が元々備わっている。

でも、

それがどう展開するかは、環境次第

「どんぐり」の比喩

どんぐりには「樫の木になる可能性」が最初からある。

でも

  • 土壌
  • 気候
  • 周囲環境

が整わなければ、健やかには育たない。
つまり潜在力だけでは足りない。

人間も同じ

人間にも:

  • 安全
  • 愛着
  • 支持
  • 栄養
  • 感情的つながり

などの“育つ条件”が必要

「遺伝子ですべて決まる」は誤解

著者は再び Robert Sapolsky を引用します。

“We are freer from genetics than any other species.”
(人間は他のどの生物よりも、遺伝子から自由だ)

つまり:

  • 環境
  • 関係性
  • 経験
  • 文化

が、脳や身体へ非常に大きな影響を与える。

epigenetics(エピジェネティクス)

遺伝子そのものよりも「どの遺伝子がON/OFFになるか」が重要だと説明しています。

そしてその発現は、

  • ストレス
  • 愛着
  • 環境
  • 体験

によって変化する。

「現代社会そのものが人間の本来性からズレた環境になっている」

  • 資本主義
  • 個人主義
  • “普通”
  • 社会適応
  • 人間性の歪み

現代文明は、
人間にとって“自然な環境=正常”とは限らない

  • 孤立
  • 競争
  • 過剰刺激
  • 慢性ストレス
  • 切断

が多い社会では「適応していること」= 健康とは限らない。

この世界の“普通”は本当に自然なのか?

=「Normal」が歪んでいる可能性

現代社会は:

  • つながりより競争
  • 協調より個人主義
  • 自然との関係性の喪失

を促進している

現代社会の生き方は、
人類という種にとって
“本来的ではない”

  • 本音を無視する
  • gut feeling を切る
  • 身体感覚を無視する
  • 欲求を抑える
  • “普通”へ適応する

つまり、

人間は自分自身に不誠実でいられる能力を持ってしまった

人間には:

  • 呼吸が必要
  • 栄養が必要
  • 愛着が必要
  • 安全が必要

など、進化的に形成されたニーズがある、

すべての生命は、“期待された環境”を前提に発達する

Jean Liedloff 
『The Continuum Concept』

  • 肺は酸素を期待している
  • 耳は音を期待している
  • 神経系は安全とつながりを期待している

もし私たちの社会が、
人生最初期における子どもの感情的なつながりの重要性を
本当に理解していたなら、
子どもたちが苦しみながら成長したり、
親たちが健全な成長を育めない状況の中で
苦闘することを、
もはや当然のこととして受け入れはしないだろう。

— Stanley Greenspan
『The Growth of the Mind』より

参考図書:The Myth of Normal: Trauma, Illness, and Healing in a Toxic Culture (English Edition)  Gabor Maté MD  (著)