友達が親の代わりになってしまう問題(自己抑圧・同調・本来の個性の縮小)

book

子どもの脳は

「誰かに愛着すること」を前提に作られている

愛着対象がいることで、

  • 安心感
  • 情緒の安定
  • 学習
  • 社会性

が育ちます。しかし問題は

現代社会では

「大人との愛着」

が弱くなっていることです。

子どもは空白を放置できない

親や信頼できる大人とのつながりが弱まると、
子どもは別の場所に愛着対象を探し始めると言います

引用されている
Gordon Neufeldの考え方

子どもは神経生物学的に「誰かにくっつく」必要がある

だから、

親とのつながりが十分でなければ、
その空白は必ず「何かで」埋めようとする

親がいなければ、子どもは最も近くにいるものに従う

アヒルの雛が最初に見たものについていくように、子どもも愛着先を求めるのです。

同年代の仲間(peer group)

現代の「最も近くにいるもの」
多くの場合

同年代の仲間(peer group)

つまり昔は

  • 祖父母
  • 地域の大人

が愛着の中心だった。しかし今は、

  • クラスメイト
  • 友達
  • 同級生

が愛着の中心になりやすい。

友達を持つこと自体を否定していません。
むしろ、友人関係は自然で大切ですが、

問題は、

「友達が愛着の中心になること」

本文には、

peer orientation(仲間志向)

本来は大人が担うべき愛着の中心が、
同年代集団に置き換わってしまう

なぜ問題なのか

未成熟な子どもが
未成熟な子どもを導く構造になる。

「盲人が盲人を導く」

結果として、

  • 仲間に嫌われたくない
  • 仲間の期待に応えたい
  • 仲間から外されたくない

が最優先になりやすい。

安全な愛着が先

安全な愛着関係によって形成された

「無条件の価値感覚」

が成熟の前提条件である

つまり、まず

  • 大人との安心した愛着
  • 無条件に受け入れられる感覚

が育つ。その上で同年代との交流が花開く。

順番が逆になると、

仲間からの評価に人生が振り回されやすくなる。

「友達が良い子なら大丈夫」ではない

親が「うちの子の友達は良い子たちだから」と思うことについて触れます。

もちろん、優しく思いやりのある友達は素晴らしい。
しかし問題は友達の質ではないと言います。

仲間が主要な愛着対象になっていることそのもの

どれほど良い子ども同士でも、同年代の仲間は

  • 無条件の受容
  • 情緒的な避難場所
  • 深い安心感

を十分に提供できません。

仲間集団は「本質的に条件付き」

仲間集団から得られる受容は、
本質的に条件付き(conditional)である

つまり、

  • 仲間に合わせる
  • 仲間の価値観に従う
  • 仲間から浮かない

ことが重要になる。

その結果、

自己抑圧・同調・本来の個性の縮小

が起きやすくなる。

いじめと排除の問題

仲間志向が極端になると、

子どもは

  • 拒絶
  • 仲間外れ
  • いじめ

に非常に脆弱になると述べています。

研究データとして、アメリカでは中学生の約4人に1人が、
深刻で慢性的ないじめに関与している
(加害・被害のいずれか、あるいは両方)

という報告が紹介されています。

仲間からの拒絶は、
子どもにとって非常に大きい

12歳の少年がSNS上で嘲笑や拡散の対象となり、
亡くなった痛ましい事例が紹介されています。

著者は、この出来事そのものよりも、

現代の多くの子どもたちが

  • 仲間から拒絶される恐怖
  • 仲間外れへの不安
  • いじめ
  • オンラインでの評価

の影の中で生きていることに注目しています。

傷つかないために「感じなくなる」

子どもは繰り返し傷つくと、無意識に

「感じないようにする」という防衛

を身につけます。つまり、

傷つきやすさ(vulnerability)から距離を取る。

すると、

  • 悲しみ
  • 失望
  • 恥ずかしさ
  • 寂しさ

などを感じにくくなります。

感受性を閉じると「共感も減る」

発達心理学者
Gordon Neufeld
の言葉として、

子どもたちは悲しみだけでなく、
「恥じらい」も失い、
「共感」も失いつつある

という趣旨が紹介されています。

研究では、

子どもが赤面しなくなると、
共感性も低下する傾向が見られるそうです。

なぜなら、

「思いやること」自体が、
実は「傷つきやすさを伴う感情」だからです。

防衛モードに固定される

人は、傷つきやすさを守ろうとすると、
防衛システムが常にオンになりやすい。

すると、

人生に対して

  • 警戒的になる
  • 身を守ることが優先になる
  • 感じることより防御が中心になる

という状態になる。

要旨としては、

子どもの感情システムは弱体化し、
自分の傷つきやすさを守るために
防御装置が固定化してしまう

ということです。

著者とゴードン・ニューフェルドはこう書きます。

感情は贅沢品ではない

感情は贅沢品ではない。
感情には生存上の重要な役割がある。

感情は、

  • 何が危険か
  • 何が安全か
  • 何が自分に必要か

を教えてくれる。そして、

人生を

  • 生き生きと
  • 冒険的に
  • 意味あるものに

する源でもある。

「防衛の代償として失われるもの」

人間には大きく

  • 成長モード(growth mode)
  • 防衛モード(defensive mode)

がある。そして、

両方を同時には生きられない。

子どもが傷つきやすさを失うと、人生を

「可能性に満ちた場所」としてではなく、
「警戒すべき場所」として見るようになる。

傷つかないために感情を閉じると、
痛みだけでなく、共感・好奇心・成長する力までも失ってしまう。

という内容です。

まとめ

「仲間からどう見られるか」を優先する愛着構造

仲間は大切だが、仲間が「心の土台」になると、
子どもは同調圧力や排除への恐れに支配されやすくなる。

これは大人にもそのまま当てはまります。

「愛着と同調圧力」の関係について

子どもに友達がいることは問題ではない。
問題は、友達が「親の代わり」になってしまうこと

「仲間の評価を基準に生きる」という問題

まず、安心できる愛着や支えがあること。

その土台があるからこそ、
仲間に合わせるためではなく、

自分らしさを生きられる。

参考図書:The Myth of Normal: Trauma, Illness, and Healing in a Toxic Culture (English Edition)  Gabor Maté MD  (著)